犬フィラリア症は確実に予防できる病気です。

'10.06.21更新

3月に、室内飼育されているパグでも感染・発症が見つかったことがありました。本州ではよくあることのようですが、飼い主様の油断が悔やまれます。

◎犬フィラリア症とは

犬の心臓に、17〜25センチもの細長い寄生虫が多数住み着き、主に心臓のポンプ機能を損なう病気です。

◎感染はどのように

犬フィラリア症の原因となる犬糸状虫の成虫は、循環血中に夥しい数の子虫(ミクロフィラリア)を産みます。蚊が感染犬吸血時に子虫(ミクロフィラリア)を吸い込み、蚊の体内で感染子虫(L3)になり蚊の口付近に住み着きます。この蚊が犬を吸血すると、感染子虫(L3)が犬側に移動し感染します。犬に入った感染子虫(L3)は、放置しておくと半年ほどで成虫になります。

◎予防はご自分の犬のためだけでなく

蚊から感染子虫(L3)の1ヶ月後幼虫(L4)に効く予防薬が使えるようになって、感染犬が激減しました。この薬の効果は完全なのですが、絶滅できないのは、予防薬を与えていない犬がいるからです。予防薬を与える率の高い地域ほど、感染率が急激に減っていきます。札幌およびその近郊の病院過疎地など予防率の低い地域では、現在でも、感染犬がある程度みられます。

◎予防は

蚊の活躍する時期に毎月1回、蚊がいなくなって1ヵ月後まで予防薬を与えます。10月中旬から蚊の出る気温でなかったので、11月の予防をせずに感染していた事もありました。
遅くなったからとか、間が開いたからとかで予防をやめる方もありますが、予防の率を高めることで、フィラリア症になるリスクは激減します。

◎感染の有無を検査してから予防薬を与えることをおすすめします

リスクは飼主様が負うということで、検査なしで予防薬を与えている場合もあるようですが。次の理由から好ましくありません。
既に感染していて、多数のミクロフィラリアが循環血液に認められる犬に、予防薬を与えますと、ミクロフィラリアの一部が死に、血管を詰まらせ肺動脈塞栓症を起こすケースがあることが知られています。肺動脈塞栓症は、人ではエコノミークラス症候群とよばれ、治療の難しい病気として知られているものと同じ病気です。検査陽性ならば、計画的に駆虫してから予防薬を与えるようにしましょう。